行った場所の感想

行ってない場所の感想も書きます。

宝塚BOYS(team SEA/SKY) 感想

観てきました。初見はもうボロボロに泣いてしまって次の日目が腫れました。

宝塚BOYSは過去何度か上演されていましたが観るのは今回が初めてでした。告知でも「両チームぜひ観て欲しい!」と言っていたので素直に観にきましたが両チームを観られて良かったです。


あらすじ

第二次世界大戦終戦した1945年、帰還兵の上原金造は宝塚歌劇団創始者小林一三宝塚歌劇団への入団希望の手紙を書き、それをきっかけに男女混合で宝塚を上演するために「宝塚男子部」の結成が決まって…という話です。


登場人物(敬称略)

・上原金蔵(良知真次/永田崇人)

宝塚の創設者、小林一三に男子加入の嘆願書を送った張本人。言い出しっぺの法則なのか男子部のリーダーに任命されます。宝塚BOYSは偶像劇なので、上原さんの居ないところでもガンガン話が進んでいきます。最初はリーダーが頑張りすぎとかいつか折れそうとか言われていましたが、最終的にはこの人がリーダーでよかったなと思います。いっぱいいっぱいになってる所がどちらのキャストさんでも少しおかしくて可愛かったです。永田くんが全力すぎてたまに転倒したりしていてちょっとびっくりしました。彼は宝塚でいうトップというよりも日常生活も面倒見る組長さんって感じもしますね。

・竹内重雄(上山竜治/溝口琢矢

上原と同じ時期に男子部へ入団した1人(1期生)。歌が上手くて真面目な傍目から見るとリーダー向きなタイプという感じでした。1幕はとにかく真面目!って感じの印象だったんですが、2幕からは舞台稽古するときに進んで女性役を買って出たりと打ち解けてきたのか面白いシーンが増えてきて見ていて楽しかったです。上山さんは多分真面目な中に笑いを入れるのがかなり上手いですよね、初見だった事も合わせてものすごく笑いました。

太田川剛(藤岡正明/塩田康平)

元宝塚のオーケストラメンバーで同じく1期生。最初は隠していたけど持病持ち。稽古を続けても標準語に直さずバレエや歌のレッスンは真面目に受けず…という問題児なのかな?と思うと男子部に欠かせないムードメーカーでした。この作品、今でいうと「どこ中?」みたいなノリで「戦地どこだった?」という重い質問が飛び交うんですが太田川は上に書いた持病で徴兵を免除されていたことを気に病んでいたので舞台中「戦争の話は嫌い」と言っていたのかと思うと彼の見る目が変わりますね。太田川と竹内が仲が良いらしいのは個人的に意外でした。

・長谷川好弥(木内健人/富田健太郎

旅芸人の息子で同じく1期生です。長谷川は太田川と同じくとにかく三枚目!って感じで話を動かすし笑い取るしで見ていて全く飽きなかったです。大衆演劇っぽさから宝塚の演技とかなり振り幅が大きいので演じてる側は二重に勉強しないといけなくて大変そうだなあと思ってました。長谷川の「芝居がしたい!」って心からの台詞はグサッときましたね。人のことをよく見てるのか、何気ないシーンで輪から外れてる人を呼び寄せたりしていてサークルに1人はいてほしいタイプですよね。上原が上手くまとめられなくて苦労してる時、多分かなり救われたんじゃないかなと思います。誰とでも上手くやっていけそうで尊敬します。

追記:山西さんのアフタートークで馬の足で召集されたのが上原と長谷川だったのは扱いやすいから…というのが山西さんの中に設定としてあったみたいです。設定が細かい。

・山田浩二(石井一彰/山口大地

ヤミ市で愚連隊を率いていた…のではなく、使いっ走りで日舞の先生のお坊ちゃんです。山田はガラは悪いけどハッキリした人で陰口や文句を言うのを絶対に許さないタイプです。今はこういう人少ないですよね。お坊ちゃんと書いてしまいましたが、山田も戦争でお兄さんは帰ってきたけれど精神を病んでしまって傷ついているからこそ家族を元気付けるために男子部に入ろうと思ったんだと私は思います。この人も素直で可愛いので見ていて飽きないです。

・星野丈治(東山義之/中塚皓平)

男子部の中で唯一の現役ダンサーです。プロということで最初は他のメンバーを見下しているけれど、徐々に打ち解けて行って太田川の体調を心配したり事件があった時は一緒につきあったりと根は優しい人でした。両方のキャストさんのダンスがとても上手かったのでレビューでこの人たちのパートは安心して見ていられました。東山さんのタンゴかっこよかったです。あそこだけ何回も見たくなります。東山さんの演じる星野は打ち解けた後もとにかく良い意味でキザな感じが好きだったんですが、中塚さんの演じる星野はおばちゃんに甘えてたりと年相応な感じが出ていて同じストーリーでも演じる人で一番印象が変わった人でした。時間経過とともに打ち解けていって…とストーリーの中で印象がすごく変わりました。チームSKYで星野役を演じている中塚さんは宝塚で振り付けもやってるんですね。

・竹田幹夫(百名ヒロキ/川原一馬)

山田の元子分で同じ愚連隊にいた唯一の2期生。かなり悲劇的な生い立ちなのに常に明るく振舞っていて、この時代にこういう人がたくさんいたのかと思うと辛くなります。でも竹田が来てからは山田の秘密が暴かれたりしてグループが打ち解けるのに大活躍してくれます。竹田は禁止されている歌劇団の生徒と後々付き合うんですが、その時に「ここは宝塚だ」と諌められたことに「人を好きになってはいけないんですか」と言い返すのでなかなか気が強いというかこう見えて自分の考えをしっかり持っているのかな、と思います。個人的に、竹田は宝塚の新人公演で主演張るタイプだと思います。

山田と竹田の劇中劇のシーンは2人の間でかなり練っていたみたいで、SEAとSKYで全く違うものが出来ていました。面白かったです。

感想

現在の宝塚歌劇団を観ればもうこの男子部の結末は分かってしまうのでなんとも言えない気持ちで最初は観ていましたが、男子部の彼らは真剣にあの舞台に立ちたい!と思って1幕で懸命にバレエや歌のレッスンを積んでいたのを見せられるのでもう2幕からは泣けてしまってしょうがなかったです。

男子部解散を告げる時に『実力が無いとか、運が無いとかじゃない。ここが「宝塚」だったからだ』という台詞があるんですが、なんかもう色々刺さってしまいますね。

ちょうど私には宝塚ファンの家族がいるんですが、家族の推しの人がトップスターに選ばれなかった事が最近ありました。その時も家族はきっとこんな気持ちになったんだろうと思って運も実力のうちに出来ない世界ってどうにもならなくて辛いなあとしみじみ考えてました。

解散を受け入れた後の男子部メンバーの「芝居がしたかった」とか「歌いたかった」という叶わなかったセリフの中に男子部責任者の池田さん(山西惇さん)が「男と女のレビューを見たかった」という台詞があるので最後のレビューがより活きるんでしょうね。

ラストシーンの後に大階段が出てきて男子部全員でレビューをします。これは宝塚のやり方と同じですね。上記のシーンを見た後に、本物よりははるかに小さいけれど大階段を見てしまうと圧倒されました。彼らのレビューは楽しくてすごくかっこよかったです。

シャンシャン持って大階段を下って…までは笑顔なのにお手振りし終えると本当に全員が悔しそうな顔ではけていくので、あぁこれが彼らが本当にやりたくて出来なかった事だったんだなというのを見せつけられますね。

全てを通して両チーム本当に面白かったし笑って泣きました!惜しいのはチームSEAとSKYで混合のスケジュールだったら最高だったと思います…。SKYは見たけどやっぱりSEAも見たい!という人は両チームセットのDVDを買うことをオススメします笑