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恐るべき子供たち の感想

KAAT神奈川芸術劇場で上演されている「恐るべき子供たち」を観劇してきました!

大スタジオと大きい方の会場を混同していたので、会場に入った時のスケール感にびっくりしました。前方席だったので臨場感のある視界でした…が背もたれがもうちょっと欲しかったのが本音です。(舞台はちゃんと面白かったです)

今回、この作品の上演が決まって最初にしたことは「恐るべき子供たち」の漫画版を読むことでした。本当は活字で読むべきだったと思うんですが、私自身が活字苦手であることとなかなか難解そうな作品だったのでお手軽な漫画版を選んでしまいました。「ポーの一族」の萩尾望都先生の絵の雰囲気が作品の空気と良くあっていて、こちらも面白かったです。

 

あらすじ

エリザベートとポールの姉弟がメインで進んでいきます。学校に行けず母親と弟のポールの看病をしながら日々を過ごしている姉のエリザベートと、学校に通っていたけれど冒頭の事故から体調を崩し家にこもりがちになったポールの2人が中心なので基本的に室内で話が進みます。

登場人物(敬称略)

漫画版でも冒頭から病気の母親の看病をしていて、ほとんど外の世界を知らないんだろうなぁと思っていました。エリザベートとポールは劇中ずっと喧嘩のようなことばかりしているのですが、エリザベートが恐らく学校に行かずに少しやった仕事もブティックのモデルさんと一般的なお仕事とはかけ離れていてよくアガートと友達になれたなあと正直思います。後半になるにつれエリザベートがどんどん怖くなっていってちょっと鳥肌がたちました。

このキャスティングは少し意外だったんですが、柾木くん凄くほっそりしていていい意味で生活感がない人なので観ていてしっかりポールになってました。ポールを学校から引き離した張本人になるダルジュロスのことを多分好きだったんだろうな〜と思うし、エリザベートが言った「愛することを知らない」って言う言葉も本当かはわからないけどまだまだ幼稚なポールを表してるなあと思いました。ポールの相談先がエリザベート以外にもあったならすれ違いも避けられたのにな〜と思うとなんとももどかしいです。

この作品で多分一番常識があった人かもしれない。ストーリーテラー的役割のある役でした。ジェラールは最初はポールが好きで、成長していってエリザベートが好きになったんですね。(この辺は漫画でも描写ありました)

この姉弟と旅行に行った時に2人がやったことはかなりひどいので正直あそこで縁を切ってしまいそうなもんですがジェラールはずっと友達でいるんですよね。エリザベートとポールが死ぬシーンにジェラールがいないっていうのがストーリーテラーであり私たち観客により近い人間だったのかなと思ってます。でもエリザベートが好きなのに告白すらさせてもらえなかったのは可哀想。

  • アガート/ダルジュロス(馬場ふみか)

アガートとダルジュロスは元々似ているって設定だったんですが、流石にキャスト分けるのかな?と思ってたら二役でした。少年時代からストーリーが始まるので馬場ふみかちゃんの少年演技がハマってました。漫画版だと2人とも映画俳優さんみたいな太眉の美人に描かれてました。ダルジュロスはポールが学校に行けなくなったきっかけを作り、ポールが死ぬ原因を作った人になるので現実世界から引き離した人って感じです。反対にアガートはポールが人間らしく誰かを好きになる気持ちを教えた人という似ている2人なのに役割が全然違っていて面白いですね。アガートは泣いてばっかりいるので正直本当にうまくやってたのか?って感じはします。

 

感想

大まかなストーリー知らないと厳しいのかな?と思っているので「恐るべき子供たち」を全く知らない人がこの舞台を観てどう思うのかはかなり気になります。

この姉弟はずっと宝物箱に色々集めてるんですが、私も子供の頃やってたな〜と思ってました。ハサミとかカッターで遊んだら怒られるのに、子供の頃ああいう危ないものが物凄く魅力的に見えた時期があってそれがポールの毒薬が好きという気持ちなのかなと思います。学校に行かず社会的生活を送らなかったからこそずっと子供っぽいままでいたから大人になってからも2人でケンカばかりしていたのかな〜と思います。私にも姉がいるのですが、一定の年齢超えるとなぜかケンカしなくなるんですよね。子供の頃は相手に無駄に干渉するからケンカが増えてしまう気がするので演出とはいえ姉弟のケンカする場面はちょっと不快に思ってました。ここは一人っ子だと見方が違うかもしれない。

漫画に「無限(夢幻)世界」という言葉が出てくるんですが、当て字ということであえて使わなかったのかそれはそれで面白かったです。「誰かに見せるためにケンカをしてたわけじゃない」というラストのジェラールのセリフが2人をよく表していてすごく面白かったし最後の現場にジェラールがいないのもストーリーテラーとしての役割なんだなと思うと納得。