行った場所の感想

行ってない場所の感想も書きます。

月組 御園座公演「赤と黒」の感想

追記:ライブビューイングなくなっちゃいましたね…他の組でも中止が出てますね。本当にジェンヌさんも皆さんお大事になさってください。

観てきました〜。コロナウイルス警戒のためか、観客の方のほとんどがマスクをしてました。早く流行が終わってこの時の事が昔の話になって欲しいと思います。皆さんお大事に。

こういう再演ものを生で観るのは初めてだったのですが、出演者の方が言っていた通り『宝塚観た!』という気持ちに浸れました。観劇の前に星組で過去に上演した方の映像を観ましたがかなりアプローチが違っていたので、これも再演ものの醍醐味かなと思います。話の内容はなかなかシビアでしたが、文学作品が原作ということでとても面白かったです。

登場人物(敬称略)

ジュリアン・ソレル(珠城りょう)

平民生まれだけど向上心が強いので出世のために一生懸命勉強をしていたナポレオンを尊敬する青年。ジュリアンは基本友人のフーケとお世話になってるシェラン司祭(颯希有翔)にしか野心家の一面を見せていません。レナール夫人には野心家というよりも1人の男性として向き合ってる感じ。ジュリアンは本当に努力家なのに権力争いより何よりもレナール町長とヴァルノの意地の張り合いを発端に破滅させられたのは不幸だなあと思います。最後にジュリアンが『負けたのではなく生きようとしたのです。』っていうのは多分そういうことじゃないかと。ジュリアン自身が身分制度とかに対して戦いを挑んだのではないからこそなんとも言えない気持ちになります。でも不倫は良くない。

レナール夫人(美園さくら)

ジュリアンがラテン語の家庭教師をしに行く家の奥様。使用人のエリザにも優しいので、きっと良い人なんだろうなと思います。3人の子供達もとても可愛がっているようでした。この子供たちが本当に可愛いので是非ライブビューイングで確認してください。レナール夫人は1幕がほとんどで2幕は最後の方にしか出てこないんですよね。その間ジュリアンが別の人とよろしくやってるんですが…。レナール夫人って舞台を観てもパーソナルな部分が良くわからない人なんですよね。ただ『ヴァルノが言い寄ってもなびかなかった』みたいなセリフがあるあたり、この人もレナール町長とヴァルノの意地の張り合いの被害者なのかなと思います。不倫はよくないけど。

フーケ/コラゾフ公爵(月城かなと)

フーケは本当にいい奴でした。ジュリアンが彼と話している時は年相応の青年らしさが出ていて珠城さんと月城さんの学年の近さが活きてるなと思いました。ジュリアンが捕まった後、『お前のナポレオンは元気か?』って聞くあたりでちょっとホロっときます。悪役じゃない月城さんは人の良さがよく出ていていいですね。

コラゾフ公爵は対照的で宮廷の貴族の奥様方を引っ掛けまくるヤバいやつでした。貴族の服装も様になっていてかっこいいです。コラゾフ公爵はよくわからない人なんですが、ジュリアンのことを疎んでいるのかな?と思うと恋愛のアドバイスをしてくれる謎の人物ですね。パリの社交界の風紀が心配になる。

感想

才能のある平民のジュリアンが貴族たちのどうしようもない意地の張り合いや権力争いに巻き込まれて結局は逮捕されて処刑されてしまう作品。最初は死刑とか重くない?となったけど『平民が貴族を傷つけるのは重罪』らしいのと、法律がまた変わったりするんでしょう。人と才能に恵まれてるジュリアンでもこうなってしまうんじゃこの時代にのし上がるのは無理な話かなあと思っちゃいますね。

正直言ってテーマ的にもかなり重い話ですが、出演者の方々の演技力で観やすくなっていたのでクスッと笑えるところもあって息抜きになりました。御園座まで行くのは厳しい人も是非ライブビューイングで確認してみてください。